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開心術

皮膚を切開し
胸骨を割って
開胸器が差し込まれると

かすかな光沢を放つ心膜におごそかに包まれて
心臓がそこに在る

心膜を開けると
のびたり縮んだりなんていう言葉では表せない
複雑な動きをする心臓が
眠っている患者に
規則正しい命の脈動を送り続けている。

心臓外科医が
さまざまな管が心臓と血管に挿入し
この哀しいぐらいに忠実に動き続ける臓器の
代わりとなる機械につなぐ。

管を通してしだいに
命を支え続けてきた心臓の働きは
人工心肺に肩代わりされていく。

さあ、時が来た。

薬液が注入されると
心臓は見る間に
命の輝きに満ちた力強い動きを弱め
ひっそりと停止する。

次に動き出すその時には
壊れた弁は取り替えられ
詰まった血管はバイパスされ
新しいあなたになっているはず。

天寿が尽きるその時まで
使命を全うできるようにするために
今だけは、しばしの安らぎを。

症例報告;後輩へ

次から次へと
上司の先生に
小さい研究会や学会での
つまらぬ症例発表をおしつけられている後輩へ

まだ若くて
目先の仕事をこなすことに
息が詰まりそうになっている君へ

論文を書いてごらん

ほらこの間 君が心を尽くして
一生懸命治そうとしたのに
不幸にして亡くしてしまったあの患者を
症例報告にしてごらん

きちんとした英語の論文に仕上げて
世界中の医者が検索できるような学術雑誌に投稿しよう

そうすれば
同じ困難な症例に立ち向かい
答えを求め文献の海を彷徨う
医者のだれかが読んでくれて
同じような患者を
今度は亡くさずにすむかもしれない
君の体験が他の患者を生かすかもしれない

学会で口に乗せた言葉は一瞬だけど
紙の論文はずっと残る
エジプトのパピルスのようにね

君の焼け付くような苦しみと後悔
患者の家族の悲しみと憔悴を
学術的に正確な記述の下にひっそりと込め
患者から君が学んだことを
君だから学べたことを
思う存分 明日に向けて考察に書くがいい

論文は過去と未来をつなぎ
あの患者は永遠になる

悲しい昨日を無駄にしないために
我々はできるのはこれぐらいしかないのだから

再婚?才魂?菜根?

。。。ではなくて、サイコン。
つまりサイクルコンピュータを買いました。

速度や走行距離がでるのはワイヤレスでも安価ですが
ケイデンスも表示されるものはやはり一万円を超えてしまうようで
ちょっとケチって有線のものにしました。

線を這わせないといけないのと
クランクにもマグネットとセンサーをつけないといけないので(これでケイデンスを測定するらしい)
ちょっと面倒でしたが
ぶきっちょの私でも何とか装着完了。

多少は線や結束バンドが見えてしまいますが
つけてしまえば有線でもあまり気になりません。
しかし速度やケイデンスが表示されるっていうだけで、
坂道でも励みになってがんばれるので結構楽しいということに気づき、
これで五千円は結構お得な買い物だなーと思いました。

…と、ゴキゲンで今日もチャリ通勤していたら
途中でケイデンスが表示されなくなってしまいました。
クランクに装着したマグネットが少しずれてセンサーに感知されなくなった模様。
すぐに直せましたが、もうちょっと固定を良くする方法を考えたほうがよさそう。
まだまだ初心者です、はい。

乗せられて正解

片道10kぐらいある通勤をしばらくママチャリでがんばってみて、
意外と自転車でも大丈夫な距離だとわかったので、
クロスバイクを買おうと、一ヶ月間ぐらい楽しみながらどれにしようか悩んでいました。

ビアンキとか、GIOSとか、GIANTとか、ルイガノとか。。。
いくつか候補にあげ、わくわくしながら自転車店に行って言われた一言。
「お客さんの身長だと、どれも合いませんよ~」
「GiantのEscapeは、合うだろうけれど今シーズンはもう在庫がないんで~」

150cmで胴長短足の私には、はじめから選択肢は限られていたようであり
今までの自分の体格を無視したリサーチはほぼ無意味。
自転車店のにーちゃんがすすめたのは
ブリヂストン Anchor RA5 Woman。
しかも、「お客さんなら絶対ドロップハンドルのロードじゃないと物足りなくなりますよ~」
といってフラットバークロスを探していた私にドロップハンドルをすすめてくる。
乗せられやすい私は当初の意思とは全く違うドロップハンドルのモデルにしたのでした。
昔大き目サイズのMTBを買って失敗したので、今回は一番小さいサイズの380mmにしました。

かくして先日納車されたAnchorは
なかなかどうして思ったよりしっくりくるのです。
高さもばっちり、何よりトップチューブ長が長すぎず
ハンドルが遠くなく快適です。
ドロップハンドルに乗るのが初めで
最初ちょっとふらついたけれど
慣れると羽が生えたような軽い乗り心地がたまりません。
ママチャリとはどうやら全く別腫の乗り物であるということに気付きました。

唯一の難点はブラケットを握ったときにややブレーキを利かせにくく
通勤では人の多いところをすり抜ける場面もありちょっと困ります。
手が小さくて慣れていないからでしょうが、
そんなときAnchor Womenについている補助ブレーキは本当にお役立ちです。

まんまと乗せられた買い物ですが、今のところ大満足。
自転車店のにーちゃんの言葉が頭をよぎります。
「お客さん、きっとこれからハマりますよ~。皆さんそうですから。」

そうかもしれない…



いのちのお礼

せんせい命を助けていただいてありがとうございましたと
突然白衣のポケットに封筒がねじこまれる

いえいえそれだけは受け取れません
そうおっしゃらずにぜひ気持ちだけですから
お歳の割りに意外に力強いあなたと
白い封筒をはさんだ攻防戦の開始。

これは私の仕事でして
別に特別なことをしたわけじゃありません
病院からお給料はちゃんともらっています
これだけは受け取らないことが私のポリシーなんです
お気持ちだけはありがたくお受けしますので
どうかこれでご主人と
退院祝いにおいしいものでも食べに行ってください

コメツキバッタのようにペコペコしながら
じりじり後ずさり
ようやく退却成功。

だけどあなたに
言っていないことがある。

いのちを助けてもらっているのは
私もだということを。
あなたが生きてありがとうといってくださることが
私のいのちに意味をくれているのだということを。



Carpe diem

今という時間は

いましかない

 

どっちの服を着ていこうかで迷った15分間も

意味なくぼけーっとしてしまった30分間も

二度寝してしまった1時間も

愚痴とひとの悪口を言うために費やした数時間も

失敗して落ち込んだ数日間も

 

悔やもうが 泣こうが 叫ぼうが

2度とはもどらない

 

それならいっそ

一日一分一秒を

くやまぬように

かみしめていきたい

見るもの聞くもの触れるものすべてを

生き生きとこころにうつして

seize the day

seize the time

 

 


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